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真理の追究と現世利益①

(前略)私がこの世に出て来たのは、むずかしい昔の教えをみんなやさしくして、わかりやすく、行ないやすくしようと思ってなのです。

宗教には二通りあるのですよ。真理を知らせて、永遠の生命を知らせる教えもあるし、現象利益で病気を治したり、貧乏を直したりするほうにばかり片寄っているものとあるのです。

この世の中では嘘を言わなければならない人もあるし、真理としては真っ直ぐに行かなければならないのに、真っ直ぐ行けないこともあるでしょう。

たとえば、嫌いな人が隣家に住んでいるとします。嫌で嫌でしょうがなくても、会いたくなくてしょうがなくとも、「こんにちは」と声をかけられたら、「こんにちは」と言わなければならない。話したくなくとも、話しかけて来られれば、話をしなければならない。

そうすると、嫌だ嫌だと思うのが、内にたまります。これは毒素となります。

だけれども、隣の人に会って、知らん顔して逃げちゃうわけにはいかないでしょ。

そのように、この世の中では自分の思うままにいかないこともあります。

自分の思うままにいかない世の中で、しかも心が明るく、心が正しく生きることはむずかしいです。(つづく)

五井昌久著『空即是色―般若心経の世界』より