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役行者はかく語る⑤

(つづき)肉体を鍛えるということも必要だけれども、心を鍛えることとは別の問題で、心を鍛えることが一番大事です。

ところがどうやったら心を鍛えられるのか、方法がわからないでしょう。

そこで想いというものを、すべて神さまのみ心に投げ入れちゃいなさい、というわけです。

生きるも死ぬも、現われてくるすべては神さまのみ心でなされているんだから、自分の想いで何事も出来ないんだ。肉体の”われ”は何事もなし得ない。だから想い全部を、神さまのみ心の中に入れてしまいなさい。

ただ入れたんじゃ面白くないからね、目的をもって入れなさい。

何の目的かというと、世界が全部平和になりますように、誰も彼もがみんな仲良く、みんな調和して、平和に生きてゆかれますように、というような目的を持った中に、想いを全部入れちゃいなさい。

それで、「神さまありがとうございます」と入れると、そうすると、世界人類が平和であることは神さまの大み心だから、み心のなかに自分が入っちゃうわけですよ。

自分の本心の中に入るわけです。

そうすると想いが乱れません。

世界平和の祈りに決定したら、想いは乱れません。

そういうことを悟りというんです。

だから一番易しい悟りの方法、解脱の方法が、”消えてゆく姿で世界平和の祈り”だというんです。

“いくらただ想いを叩いてみたって、それは一部の枝葉のことに過ぎない。

全部を投げ出すことが一番よい。

“役行者が言ってるんだから間違いない。

役行者ほど鍛えに鍛えた人はいないんだから。(つづく)

五井昌久著『空即是色―般若心経の世界』より