(前略)いのちがそのまま生きていることが一番いいわけです。
いのちそのまま生かすためには、肉体にとらわれ、想いにとらわれ、言葉にとらわれ、うまくやらなきゃいけない、こうしなきゃいけないという想いを、思慮分別をいっぺん無くすことです。
そうしない限りは、その人はその道の達人になりません。
それで、宗教の道、祈りの道というのは、すべてが達人になる、立派な人になるためのものなのです。
何をやっても、誰にでも負けない者になるためには、やはり”とらわれ”がなくなることです。
だから私は、とらわれになるようなことは一切言わないようにしているんです。(後略)
五井昌久著『空即是色―般若心経の世界』より