(前略)ある日、割合、新しい会員の方が私に「自分は五井先生にお目にかかった時に、それがまったく初めてのことでありましたのに、何故か懐かしさが込み上げてきて仕方がありませんでした」とおっしゃるわけです。
その席には私も同席していましたので、よく覚えていますが、その方はもう涙、涙、涙でございました。そして、その方は「それ以来自分はきっと過去世で、五井先生に何か深いつながりがあったに違いないと思うようになった」とおっしゃるのです。
「だから機会があったら、一度五井先生に伺ってみていただきたい。五井先生と自分との過去世のつながりはいったい何だったのでしょう?もしかして私も先生のお弟子の一人だったのでしょうか。或いは何かその他のご縁があったのでしょうか。とにかく先生が懐かしくて仕方がありません。この感じはもう只ごとではありません。今まで覚えたことのない感じです。是非お願いします」と、いうわけでした。
そこで私は「皆さんそうですよ、何もあなただけではありません。みんな五井先生に初めてお会いした時は懐かしくて仕方がなくなったものです。私なども先生にお目にかかって、これでやっと本当の親に巡り会えたって思いましたし同じじゃないですか」と申し上げたのですが、その方は「違います。私のは違います。何としても五井先生に伺って下さい」と、おっしゃるわけです。
(中略)とにかくそれではと思い、折を見て五井先生にその話をいたしました。すると先生は笑いながら、
「それは前の世で弟子だったとか、子供だったとか、そういうことではないのだよ。私に会った人が懐かしいと思うのは、その時、魂の故郷に帰ったと思うからなのだよ。私に会った人は本源の世界にすっと帰れるので、懐かしくなるんだよ」
とおっしゃいました。そして
「だからあんたも初めて会った人から、ああ懐かしいと思われるようになるとよい」
と言われました。(つづく)
瀬木庸介著『人が神に出会う時』より