(前略)大宇宙は広大無辺であり、地球世界はその中の一集団に過ぎぬ銀河系宇宙の、そのまた一つの太陽系の小さな星の一つにしか過ぎません。
そんな小さな星の、しかもまた小さな一国家の、そのまた一個の自己というものだけを、たった一つの大事なもののようにして、その利害得失だけに気を奪われて生きているなどという、どうしてそう小さな想いになってしまっているのでしょう。
真理を知り、自己の本体を知った者にとっては、そんな小さな想いがおかしくもあり、憐れでもあるのです。
しかし、どんな立派な人でも、過去世において、はじめて肉体身を分霊魂がまとった時には、ただひたすら、肉体身に融合しようとして、肉体身だけの自己に把われきっていた時もあったのですから、そう自己の心境とかけ離れたものとして馬鹿にしてもいられません。
かつての自己の姿として、自分の切り開いた道をそうした後進に知らせてやらねばならぬ責任があるのです。
五井昌久著『宗教と平和』より