花を散らして吹き去ってゆく時
風は全く済まなそうに
砂塵の中に体を丸め
川の波となって消えていった
花は散りながら
私はこれでよいのです
この姿も私の美の一つなのですと
優しい笑みを浮かべて地上を舞ってゆく
四月の午後の川辺のこうした自然の風光の中で
私は世界平和の祈りの歌を口ずさむ
〇
祈り心の浸み透った
聖ヶ丘の庭土の
何と云う輝きだろう
今朝もぽっかりと
チューリップの芽を生み出して
春のいろを人々に満喫させる
土のいのちのこの美しさよ
五井昌久著『純白―五井昌久詩集』より