(つづき)
家庭でも友達でも、仲が悪くなるのはどうしてかというと、自分の要求を通そうとするからです。
自分の想いを通してくれないと相手がシャクにさわる。
まして、愛し合っている場合、近しい場合には、想いが通らないと余計にシャクにさわってくる。
ですから、人間の心を一番乱すものは何かというと、自分の想いを通そうとすることなのです。
夫に、妻に、自分の想いを通そうとする。子供に通そうとする。それで通らないとイライラして、シャクにさわってくる。だから通そうなんて思わないことです。
自分には世界平和を祈るという重大な役目があるんだ、自分の心からの願いは、世界平和を成就することだし、それが本当の眼目なんだ、そう思えるようになると、夫や妻への要求も、子供への要求もなくなってくる。
そうすると大らかな、にこやかな妻になり、夫になり、父になり、母になる、ということになるんです。
そういう具合になると、うちの夫は、うちの妻はよくなったな、お父さん、お母さんはよくなったな、立派になったな、というふうになるんですよ。
そうすると今度は、そんなに強く要求しようとしなくても、向こうが要求を通してくれるのです。すべてそうです。
こちらの要求のみを、通そう通そうとしている間は、相手はいうことを聞いてくれません。
しかし、向こうの要求を聞いてやろうと思うと、そうすると、相手がこちらの要求を自然に聞いてくれるものなのです。
だからまず大きい心のほうが下座について、向こうの要求を通してやることです。そうすると、すべてがうまくゆくんです。(後略)
五井昌久著『天の心かく在り―日本の進むべき道 (聖ケ丘講話)』より