(前略)
日本人は世界各国に先んじて、霊性開発を成し遂げる天命を持っているのです。相対的な肉体人間的思想から、生命は同一なりを実感できる霊性発現の中心地は、大和と称号していた日本の国であり、日本人なのであります。
日本人は右のもの左のもの、縦のもの横のものという、あらゆる種類の思想や物事を、調和させて、成就させる天分を持っています。ですから外国文明も日本に来ると、日本に本来あったものとうまく調和して到来したもの以上の立派なものに仕上げることが出来るのです。
日本人は猿まねが上手で、外国のものをすぐに模倣してしまって、同じようなものをつくる、といわれていますが、これは猿まねではなくて、外のものを受け入れて、自己のものとなす天分のしからむるところなのです。どんな思想や物事でも受け入れ方が早くて、それを自己のものとすることがうまいのです。
いいかえれば、どんな物事でも調和させ得る能力を天命として持っている、ということになるのです。
この天分が大事なのであり、これを世界平和樹立のほうに持ってゆけば、日本の天命が果たされることになってゆくのです。
(中略)
日本は、霊肉一致する、天地を調和させる天命を持った国柄なので、物質文明文化も素直に取り入れて、今日の文明文化国家となっているのです。
日本の今日の文明開化は、もうすでに、アメリカ西欧並みになっていますので、いよいよ日本本来の霊性を、日常生活の上にも現してゆかねばならぬことになるので、そうしなければ、それこそ、猿まね日本といわれても仕方のない模倣専門の国家になり果ててしまい、遂には自国の天命を果たし得ずに、地球人類を滅亡させる一役を買ってしまうことになるのであります。
ですから日本は、霊性の上に立った世界平和ということを、主眼目として行動してゆかなければならないので、大国の動きを見ては、その動きにつれて自国の国策をつくり出してゆく、というような貧弱なことでは仕方ありません。
(つづく)
五井昌久・西園寺昌美著『世界のひな形―日本』より