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人間に一番大事なものは何か? ③

(つづき)

霊魂とか肉体とかいうと、ふわふわした火の玉と、こうした顔や姿をした物質体という区別で考えたくなりますが、実は両方ともに神さまのみ心の響き、つまり大智慧、大能力をもった生命の波動の表われなのでありまして、霊とは神のみ心そのものが、そのまま障害なく働いているすがたなのです。

ですから神道では、一霊四魂といって、一つの霊が、幸魂さちみたま和魂にぎみたま荒魂あらみたま奇魂くすみたまというように、異なった波動を持った働きとなり、その四魂の調和した時に、その人格が完成され得る、というのであります。

人によって、荒魂の主となっている人もあれば、和魂の主になっている人もあるのですが、どちらの人にしても、四魂が調和して働かなければ、その人の人格というものは完成されないのです。

俺はどうせ生まれつき気が荒いんだ、といって威張っているようでも、私は生まれつき気が優しすぎるの、と自分を引っ込めすぎているようでも、その人の人格は完成されていないので、四魂の調和ということが大事なのであります。

一霊つまり人間の本心のほうから考えますと、単なるこの世における幸福などということより、完全なる人(霊止ひと)をつくりあげることが大事なのでありますから、その完成のために必要な状態を常に、各人のために用意するわけであります。

(つづく)

五井昌久著『神は沈黙していない』より