(前略)
みなさんも、”鳴かぬ鳥の声聞けば”じゃないですけど、無為にして為す、空の心境にいつもなっていれば、こうでなければいけないとか、あれはいいとか悪いとか、そういうふうに、いちいち大したことでもないのに、俺の顔を立てなかった、俺に一言もいわなかった、とか会社などでよくありますが、そんな下らないことはどっちでもいい。
仕事さえすればいいんです。
いい仕事が出来て、みんなが救われればいいのに、みんなのためになればいいのに、俺のハンを押さないで、俺に言わないでした、けしからん、俺はなんだという。
それを小人というんです。
あいつは愛想が悪かったから、ハンを押してやるものか、今日は出来ませんよ、といって返してしまう。
役所などに行くと、書類が山と積んであるそうです。
三年も五年もたまっているのが随分あるようです。
つまらない小人根性でやらない。
いつも空っぽの心、空の心でいれば、スースーと仕事が出来、智慧はいくらでも出て来ます。
人の十倍、百倍、万倍出て来るわけです。
頭の中でガチャガチャと、あいつがなんだ、こいつがなんだ、なんていうことは、キッパリ消えてゆく姿にして、平和の祈りの中で生きてゆくんです。
そうすると自然に力が出てきます。
(後略)
五井昌久著『空即是色-般若心経の世界』より