(前略)
自分とか相手とかいっているのは、相対世界のことなのですが、形の世界はすべて相対界であって、絶対界は形の姿としては見当たりません。
そこで人々はどうしても相対界から抜け出し得ません。私のほうが、あなたのほうが、とやっているわけであります。
ここのところが、なかなか老子のいうような心の状態(※無為の心境)に踏み込み得ないところなので、どうしたらそうした絶対界の人として生活でき得るか、という問題が残るのです。
そこで私は、私たち人間は、大生命の分かれである小生命であって、お互いに(※魂、生命波動を)さかのぼれば、大生命の根源において、一つに結ばれているものである、ということを認識することを教えているのであります。(中略)
私といい、あなたといっても、大生命の光明をお互いに交流し合っている仲なのであって、相対的なようにみえても、絶対者において結ばれている私とあなたなのであります。
(後略)
五井昌久著『老子講義』より