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般若心経について①

今日は次のような質問が来ていますので、これに答えながら、お話をすすめましょう。

「あるお坊さんの般若心経解説の中に、″肉体は虚無をはなれない。虚無は肉体をはなれない。肉体はそのまま虚無であり、虚無はそのままに肉体である……すべてが虚無だということは、それらが生ずるものでもなく、滅するものでもなく、汚れもせず、浄くもならず、増しもせず減りもせん、ということである。だから虚無の世界では、肉体もなく、感覚も想念も、意欲も自由もない……従って、かつて経験した世界もない。盲目的本能もなければ、本能の尽きることもない。また老死もなければ、老死の尽きることもない。苦悩もなければ安心もない。安心もなければ修行もない。知ることもなければ得るべきこともない。本来何ものもないからである。真理を求める上種は、このような徹底した智恵によって、心にこだわりがない。こだわりがないから恐怖がない。恐怖がないから、あらゆる迷妄邪悪な観念からはなれて、永遠にして静寂なる境地が得られるのである″と説いていらっしゃるけれど、先生の解説をお願いします。それからこのように説かれた人は、この世を去ってからどういう世界に行くのか、またこのように説かれた人に従った人たちの死後も世界はどういうところでしょうか」という質問ですが、みなさんも般若心経というのはご存知でしょうけれど、般若というのは、深い智恵、大智恵という意味です。

ですから、般若心経というのは、深い智恵の本当の教えというのです。お釈迦さまが観世音菩薩の形になって説いてらっしゃるんです。

それには何が書いてあるかというと、無い無いづくしなんです。悩みも無ければ、悩みを生ずることもない。肉体も無ければ、肉体の生ずることもない。

あらゆることの現われはすべて無いのだと、すべて、無い、無いなのです。

(つづく)

五井昌久著『空即是色-般若心経の世界』より