故郷の米のうまさに舌づつみ打ちつゝ
幼き日のこと思ふ故郷越後から新米が送られてきて
そのおいしさに頬をほころばせる私関東大震災の時カツでごはんと
上の山で母を困らせていたことがあったという私顔と同じぐらいの大きさの大きなおむすびを
山の芝刈りにもっていった少年の日の私戦中戦後の食糧難の後で
白米のおいしさに想わず涙ぐんだことのある私私の生活の中で米は重要な部分をしめている
米の害をいろいろと説く人もあるけれど
米の親しさを身にしみて味わっている人が
私のようにかなり多い米は私にとって食料の中心であり
いのちの親であるような気もしている
故郷や父母を想うように米のありがたさは
私の心を離れることはないであろうできたての
白飯(しらいひ)愛(かな)し
天地(あめつち)の
いのちの光
頂きて喰(お)す
五井昌久著『平和讃-詩集』より