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真理を離れた思考は夢幻①

(前略)肉体の人間が病気をして苦しんでいる。病気をする、貧乏をする、不幸だというのも、本当は夢、幻なのです。

般若心経では、”転倒夢想して”といっています。ひっくり返っている、逆さまの想いをしていることがこの世の姿なんだ、というのです。

つまり、真実のことを逆さまに見ているために、この世が不幸であり、生老病死に恐れをなして、死ぬことが恐ろしい、病気になること、不幸になることは皆恐ろしいんです。

ところがそれは、逆さまの想いであり、夢のような想いなのです。

これがわかった人が”悟った人”というわけです。

なぜ夢のような想いであり、逆さまの想いであるかというと、いつも私が言うように、人間というのは本体が神様の分霊なのです。

そして、神様は完全円満なのです。

完全円満なる神様の分けられた命なのだから、真実からいうと、本当の姿には、不幸や病気や貧乏や不調和なものがあるわけがないのです。

あるわけがないのに、この世の中にはある。

しかしそれは、妄想、夢想です。

逆さまに思っているわけなのです。(つづく)

五井昌久著『空即是色―般若心経の世界』より