煎じつめれば、一人一人の人間が業想念に煩わされないで、業想念を解脱して、人間の本当の姿、本心を顕していさえすれば、国というもの同士の戦争などなりっこないんだし、人類は平和になるわけです。
ですから国家を平和にし、人類を平和にするためには、やはり一人一人の人間の心が大事なのです。どんな老人、子供、どんな人であろうとも、一人一人の想いというものが、人類の運命に影響するわけなのです。
そこで私どものしている消えてゆく姿で世界平和の祈りが大事なんです。
現象界の現われてくるものは、すべて消えてゆく姿なんだ。どんな喜怒哀楽も、どんな哀しみも苦しみもみんな消えてゆく姿なんだ、と消えてゆく姿と思って、それを世界平和の祈りの中に入れてゆけば、元々本来の、神の大愛、大調和のみ心がそのまま光となって来ているのを、今まで、欲望とか把われで邪魔していた、その欲望や把われが消えてゆく姿として現われてくるのと引き換えに、本心の姿、本心の光がこっちに入ってくる。
業と光とを入れ替えているのが、消えてゆく姿で世界平和の祈りなんです。
五井昌久著『心貧しき者は幸いなり』より