(前略)この世の中には本当は、いけないとかいいとかはないんです。
ふつうの人はすぐ、「これをやってはいけない」、「あれはやってもいい」とか言いますが、いけないいいではなくて、やる時にはやってしまうんです。
いけないとかいいとか言ったって、やってしまうんですよ。(中略)
いいですか。いけないとかいいではなくて、そうなってくるんですよ。
それを今までの宗教家がよく知らないんだ。
それで、「これをやってはいけない」、「あれをやってはいけない」、「お前はいけない」と、こう言っていた。
私はそこをよく知っている。
“いけないいい”の問題ではなくて、現われてくるものは現われてくる。
消えてゆくものは消えてゆく。
映るものは映る。
それはすべて、神さまのみ心、自分の本心が現われるためのものだから、どんなふうに悪く出ようと、善く出ようと、有難いのだ”、とこういうのですよ。
わかります?(後略)
五井昌久著『空即是色―般若心経の世界』より