(前略)人間はたまには旅行して、いろいろな風物に接することもいいし、家で庭の草花を見ていることもいいことです。
私は、昱修庵の庭や聖ヶ丘道場の草木や花を眺めて、楽しんでいます。つつじの花が鮮やかです。
つつじの紅の色とまわりの緑の色が調和して、なんともいえないきれいさ。可愛いもんです。
自分の家に花がなければ、植木鉢の花でも買ってきて見るのもいい。
旅をするのもよし、家にいるのもよし、どこにいても楽しいという、そういう心をつくることが大事です。
どこにいても、どういう環境にあっても、どんな立場にあっても心が喜べる、そういう人間になることが大事です。
私はそれがもっとも得意です。どこにいても心が明るく、心がしぼまない。
「何々をしなくちゃ楽しくない」、「何々をするのは嫌だ」ということはないのです。
何をするのもいいし、何をするのも楽しい。
といって夢中になって、大仰に楽しむというのではないんです。
これは歳ですね。二十代、三十代の人と、五、六十代の人とは、考えというか、楽しみ方が違ってくるのですね。
五、六十代になると、なるべく体を動かさないで、目だけ楽しませます。(つづく)
五井昌久著『悠々とした生き方―青空のような心で生きる秘訣 聖ヶ丘講話』より