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神と人間の関係⑤(完)

(つづき)大衆は流れているのである。時間の動きとともに、人類業生の烈しい渦のなかを右に左に流されてゆくのである。

その場その時々の喜怒哀楽、渦をつかんでいったい何になろう。それが、こよなき歓喜のように見えたとしても、渦は、はかなく消えてゆくものである。

形あるもの、それは形なきものの影である。形あるものが、形あるそのままで見えるようでは、その人は救われない。

形、型、組織、制度と、形の世界、物の世界のみに固着した眼を持った思想は、人類を滅ぼしこそすれ、救うことにはなり得ない。

人間とは、肉体だけではないのである。神、即ち、宇宙に遍満せる生命が、その創造せんとする力が、ここの人格に分けられたもので、しかも横に置いてつながりあい、協力し合って、その与えられた力を縦横に、自由無礙に発揮し、形ある世界に完全なる神の姿を描き出そうとしている者である。

神とは、宇宙に遍満する生命の原理、創造の原理であり、人間とは、神の生命を形ある世界に活動せしめんとする神の子なのである。

このような、神と人間の関係を知り得たならば、この現象世界のいかなる変動の中にあっても、動揺せぬ生き方ができるようになるのである。(後略)

五井昌久著『神と人間―安心立命への道しるべ』より