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他に尽くす愛の心を

(京葉市民新聞への寄稿文から)
この地球世界は、文明文化が急速に開かれながら、その文明文化によって、かえって地球の運命を危機にさらしている、という状態に至らしめております。

文明文化の発展の根本になっております科学の発達は、工業力を急速に拡大し、人類の日常生活を、非常に便利にしてまいりました。そして、その便利な生活になれてしまった人々は、苦難に耐え、不自由に耐えるという忍耐力を失ってしまい、常に自己本位の安易さの中に身を置こうとしております。こうして、日本人の大半の人々の心の状態をうかがってみますと、正にこういう状態です。

悪いことはすべて政府の政治責任であり、自分たちの側に非はない、と思い込もうとしております。自分たちの要求だけは出して、自分たちの責任や義務はないがしろにする、という、自己本位の生き方に一般の人々は流されているのであります。

国家には尽くしてもらいたいが、自分の方から尽くすのはごめんだ、というのでは、とてもその国家は成り立ちません。国家にしても、市や県にしても、人々が尽くすことによって、よりよい市であり県であり、国家であり得るのです。

公害の問題でも、会社側の責任が大事であるにしても、国民一人ひとりの注意によっては、防ぎえる公害も随分とあるわけです。要はすべての事柄は、一人一人の人間の考え方や行為によって、改善もされ、より悪くもなり得るわけで、只単に会社や国家の責任のみに押しつけてしまうわけにはゆきません。

教育の問題でも、学校の責任は重大であるとしても、一家庭、一家庭の責任も重大であることを考えてみなければいけません。私は先ず他を責めるよりも先に、自己の心から自己本位の想いをできるだけ消し去って、他に尽くすという愛の心を増してゆくことが、一人一人の人間にとって大切なことであると思います。

その一番易しく大きな方法として私は、「世界人類が平和でありますように」という祈り言葉を日々瞬々唱えつづけて、少しでもこの世界の気の流れを平和なものにしてゆこう、という方法を皆様に提案し、実行しているものなのであります。

五井昌久著『心はいつも青空』より