平和は一人では出来ない。しかし一人が始めなければ何も出来ない。
五井先生の提唱なさった世界平和の祈りの祈願は、今や、日本国中になりひびきはじめた。北は北海道から南は沖縄に至るまで。いや日本に限らず世界中に広まり浸透しつつある。(中略)
世界の光明の扉は先生によって開けられたのだ。道は開かれたのだ。あとはもう、敷かれた軌道にただのっていけばよいのだ。
はるか高い神界の彼方より、先生のお声が聞こえてくる。それはこういっている。
『幸いなるかな、世の人々よ。
誇りに思え、愛しき人々よ。
自信をもち、確信にみち、汝が人生を歩まれよ。時がくる。天の時が近づいている。
もうすぐそこに、手の届くところにやってきている。
そして必ず感謝される時がくるのだ。世界平和の祈りの先達者、汝らこそ神から選ばれた尊きみ魂(たま)なり。勝れた器なり。
汝らの祈る世界平和の祈りは遙かに国境を越え、山を越え海を越え、世界中の人々の心の中になりひびき、愛と調和を築きあげている。
今にわからむ、汝らの歩みし真理の道を、輝ける神の道を。汝らの残せし偉大なる仕事は天地を貫き、大調和精神となって後世の人々に語り告げられむ。
今が一番大事な時なり。
今逃して又いつの日かあらむ。汝らの働きは偉大なり。
世界平和実現への道は汝ら一人一人の手にかかっているのだ』ふーっと、五井先生のお声が近よって来た。肉体界にいらした懐かしい優しい先生の口調そのままだ。
『私はあなた方一人一人に深く深く感謝しています。私の手となり足となって、世界平和の祈りを祈りつづけて下さっているからね。
私はあなた方の中に存在しています。
あなたは私なのです。』五井先生の気持ちを痛いほど感じながら、このお言葉に私たちはお報いしなければ申し訳ない、と私の両手は自然に合掌していた。
西園寺昌美著『いのち開く』より