今の人たちは俗の言葉でいえば惚れっぽすぎますよ。男の人と女の人がすぐに、好きになったり嫌いになったりする。本当に安直に、好きだとか嫌いだとかになり過ぎている。
それは自由のはき違えなのですよ。
もっと自分というものを高く維持しなければダメです。自分の尊厳性、人間の尊厳性を高く求めなくてはね。
安直に好きになったり嫌いになったりするというのは、自分を惨(みじ)めにして、自分を馬鹿にしているのと同じなんです。
そういうんじゃなくて、もっと自尊心をもって、本当に見定めなきゃいけないですよ。見定めるまで辛抱するくらいな、辛抱強さがなければならない。
手当たり次第に、そばにいる人が皆好きになったり嫌いになったりする人がある。本当に若い時には……・。
だから二十か二十一、二の恋愛なんていう程、あてにならないものはないんです。そばにいて、親しく付き合う者が好きになるんですからね。近づく機会のある人が好きになってくる。それではダメなのです。
そこでやっぱり、恋愛というよりは、親とか親戚とか、先輩とかが薦めたもので、しかも自分がいいと思うものを選んだ方が、男の人にとっても、女の人にとってもいいと、私は思うんですよ。というわけで恋愛講義になっちゃった、今日は。
五井昌久著『責めてはいけません-聖ヶ丘講話』より