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気持ちがイライラするときは(前半)

(前略)

問62

気持ちがいらいらするのは、業の消えてゆく姿なのでしょうか。それとも憑依霊の作用なのでしょうか。

自分の業であろうと、憑依のものの仕業であろうと、それをいちいち区別する必要はありません。本心の平安さを乱すものは、どちらにしてもみな消えてゆく姿である、と知ることが大事なのであります。

自分の業だと思っていると、自己の心にそまぬ想念が起こってくるたびにどうしても、”自分はなんて駄目なのだろう”と、つい自分をいじめつけたくなるので、気の弱い人などはかえって神経衰弱になりかねません。それが消えてゆく姿と聞いているからまだよいのですが、消えてゆく姿を知らないで、”自分の業だ、因縁だ”とやっていたら、それこそ消極的な弱い人間になってしまいます。消えてゆく姿の教えを知っている人でも、気の弱い人は、やはり自分を責めがちになります。

また一方、憑依作用による気持ちの乱れであると思う場合も、それをあまり強調すると、普通一般の人との付き合いの場合でも、ついそのことに話がいったりして、人から変な人だと思われかねませんし、また人によっては誰かを訪問したり、話し合ったりしているうちに、気持ちが悪くなってきたり、体が変調を来たしてきたりすると、すぐその人に向かって、「あなたについているものが私にうつってきた」「私、あなたのものを背負ってあげた」というように云ったりする場合があるのです。

これも一般の人から見れば実におかしなことなのであって、そういうことが事実だとしても、口に出して云うべきことではないのであります。

(つづく)

五井昌久著『宗教問答』より