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瞬間の反省③

(つづき)

今日までの善人といわれる、

いわゆる、自分の一挙手一投足を

いちいち善悪のはかりに

かけて行動し、

悪いことをすまい、

悪いことをすまい

というように、

常に善悪にのみ把われて、

戦々恐々と

この世を送っているような

善い人になれと、

私はすすめているのではなく、

自己の行為の把われを、

消えてゆく姿として、

世界平和の祈り言の中に

送り込んでしまう、

その瞬間の反省を

私は必要だというのです。

例えて申しますならば、

誰かと争いごとをしてしまって、

あ、しまった、

あんな争いは

しなければよかったと後悔し、

その後で、

もう再びそういうことはすまい、

と決意するのが反省だとしますと、

それだけでは、いつまでも

その悔いが残っていて、

自分の心を苦しめるのです。

(つづく)

五井昌久著『宗教問答 (続)』より